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2006年9月28日 (木)

SOXとインテグリティ

日本版企業改革法 (金融商品取引法 J SOX)は米国企業改革法 / サーベインス・オクスレー法 を基本としており2008年に施行されることになっていて、このJ-SOXに対応するための上場企業の準備をビジネスチャンスとして捉えIT業界は内部統制ソリューションの販売におおわらわになっていて、ちょっとしたブーム状態にあるそうだ。しかし、SOXで要求される内部統制はITソリューションと密接な関係があるものの、本来はITソリューションとは別物である。

SOXの内部統制はCOSOと呼ばれるデファクトスタンダードになっているといわれるフレームワークにより構築するのがお手前となっているが、COSOにおける基本はControl Environment(統制環境)だと規定されています。

統制環境は誠実性、倫理的価値・能力を含み、経営者はその社風を形成する役割と責任を負っている。とされています。ここでいう誠実性こそがインテグリティという言葉なのです。

The control environment sets the tone of an organization,
influencing the control consciousness of its people.
It is the foundation for all other components of internal control, providing discipline and structure.
Control environment factors include the integrity, ethical values and competence of the entity's people; management's philosophy and operating style; the way management assigns authority and responsibility, and organizes and develops its people; and the attention and direction provided by the board of directors.

統制環境に関係する要因には、事業体に属する人々の誠実性・倫理的価値・能力、経営者の哲学・行動様式、権限と責任を従業員に割り当て、彼らを組織し、その能力を開発するために経営者が採用した方法、および取締役会が与えた注意と命令といった要因が含まれる。

Roles and Responsibilities Managemen(関係者の役割と責任:経営者)

-- chief executive officer is ultimately responsible and should assume "ownership" of the system. MoreThe than any other individual, the chief executive sets the "tone at the top" that affects integrity and ethics and other factors of a positive control environment. In a large company, the chief executive fulfills this duty by providing leadership and direction to senior managers and reviewing the way they're controlling the business. Senior managers, in turn, assign responsibility for establishment of more specific internal control policies and procedures to personnel responsible for the unit's functions. In a smaller entity, the influence of the chief executive, often an owner-manager, is usually more direct. In any event, in a cascading responsibility, a manager is effectively a chief executive of his or her sphere of responsibility. Of particular significance are financial officers and their staffs, whose control activities cut across, as well as up and down, the operating and other units of an enterprise.

最高経営責任者は最終的に内部統制に責任を負っており、それゆえ、内部統制システムの所有者(オーナー)とみなされるべきである。最高経営責任者は、組織に所属するほかの誰よりも、誠実性、倫理およびそれ以外の統制環境に関係する積極的な諸要因に影響を及ぼす”社風”を形成することが出来る

内部統制の統合的枠組みー理論篇(トレッドウエイ委員会組織委員会) ー 要約より

ということは内部統制の重要なキーワードはインテグリティ(Integrity)であると言えますね。しかし、この言葉はなかなか理解しがたいところがあるので、このインテグリティという言葉の理解するための記事を次回以降に書き込みたいと思います。

2006年8月31日 (木)

Mr.インテグリティ

Mrインテグリティ

Integrityはちょっと分かりにくい言葉です。大変高尚な精神の状態を示しているようで、米国ではMr.Integrityととして尊敬を集めているのはエド・マローだそうです。今年の7月に映画で放映された『グッドナイト&グッドラック』に彼の活動そのものが映画として紹介されました。私は7月に新宿オデオン座で見ました

一人の記者にすぎなかったエド・マローは死後三十五年になる今日でも「放送の良心」「放送ジャーナリズムの父」としてアメリカ人の心に生き続けているヒーローである。その伝説化した人気は一九九四年に彼の肖像がジャーナリストとしては初の記念切手となってアメリカで発行されたことを見ても想像できよう。ライフ誌は「二十世紀で最も重要な百人のアメリカ人」という特集で新聞、放送を含めたジャーナリストの中からただ一人マローを選んでいる。

Photo

 第二次世界大戦中CBSのヨーロッパ駐在員だったマローは、ナチスによるロンドン大空襲の実況放送など新鮮で迫力あるリポートでアメリカの聴取者を魅了し、ラジオに釘付けにした。戦後のテレビ時代には、マッカーシズムと対決した放送史に残る金字塔といわれる番組をはじめ、あらゆる可能性を先取りしたドキュメンタリーの名作・力作を次々と発表した。生涯五千回に及ぶ放送を通じて放送ジャーナリストの先駆者として活躍したマローは、やがて経営陣と対立して孤立した末に放送界を去り、五十七歳の若さで失意の死を遂げた。

インテグリティ (integrity)とは?

Integrityとは?

日本語でピッタリした訳語がない言葉。IT業界ではシステムの統合性といった表現で使われることが多いが、これは第二義的な訳である。英語の本来の意味はオックスフォード英英辞典によれば the quality of being honest and having strong moral principles(誠実であるとともに強固な倫理原則を維持できている状態)ということで正直とか誠実とかよりワンランク上の状態をを言う。英次郎ではa person of great integrityは清廉潔白の人と訳しており、並みの人間が簡単に到達出来るレベルではない高尚な精神の状態を示している

田草川弘という東海大学の外国語教授によればインテグリティというのは特別な言葉だそうである。米国ではインテグリティがあると言えば最高の褒(ほ)め言葉になる.逆にインテグリティを喪失したといえば、それは人格の全否定になる。インテグリティとは、いかなる権力や圧力にも諂(へつら)わず屈しない道義心の堅固さ、この人ならばと人格的に全幅の信頼を集める内面的な強靱さ、したたかさ、行動力と実績を意味する。

このBlogはIntegrityという言葉の今日的な意味を探っていくことで、日本のビジネス社会が直面している課題について私の個人的意見を記して生きたい。

最近日本経済新聞から出版された高 巌(たか いわお)麗澤大学教授の『誠実さ(インテグリティ)を貫く経営』はちょうど私の問題意識に合致した本である。ただし私は企業法務的な観点からなのに対して高教授はCSR(企業の社会的責任)の観点がより強い立場からの内容になっている。高教授によればインテグリテイの本来の意味は『言うこと』と『行うこと』が一貫し、そこにぶれが無いということである。最近の企業不祥事が起こるたびに不祥事を起こした経営者が再発防止と綱紀粛正を世の中に向かって誓ってきたが、その誓いの多くは言葉だけで実行はされていない。つまりインテグリテイを欠いた状態の企業が多いということが言える。21世紀に入り、市民や社会は企業の誓いの言葉をリップサービスだけに終わらせることを許さなくなっている。企業の誓いは明確な公約と捉えられ、それを果たさなければインテグリティ(誠実さ)の無い会社とみなすように変化してきている。その厳しい要求の背景には『契約関係と信認関係』のギャップと捉えられている。

もうひとつの観点は米国のSOX法(米国企業改革法)である米国企業改革法はCOSOの『内部統制の統合的枠組み』にその理論的根拠を置いていると言われているが、この枠組みのベースにIntegrityという言葉が重要な意味がある。内部統制は現在IT業界でブーム状態となっているが、実際には内部統制の重要な部分のひとつは統制環境という構成要素である。